Nextwave Win3020dhの改造(?)




本機はアナログ5.1ch音声デコーダーを内蔵しているため、適当なアンプとスピーカを接続すれば簡単に5.1chサラウンド環境を構築することができます。そこで、より良い音で楽しむためにメイン基板のDAC周辺の回路を弄ってみることにしました。


主基板

メイン基板はアルバムCDケースぐらいの大きさで、メインの処理チップを元に構成されています。RDT-151Eの映像基板を彷彿とさせる出来です。
ESSのES6028Fでほとんどの処理を行っています。音声DACは内蔵しないようで、別にAVS technology のAV2188が載っています。
そのAV2188周辺の回路。
データシートによると、AV2188はオーディオコーデックICで、シリアルインターフェース・デジタルボリューム・96倍オーバーサンプリングDF・ΔΣ変調・6ch-DAC・2ch-ADC・等を内蔵しています。
しかもD/A変換された信号のためのfc=40kHzアナログLPFも内蔵していて至れり尽くせりの設計となっている模様。
DAC部はサンプリング周波数44.1kHzや96kHz,192kHzに対応した6チャンネル20ビット/24ビットDACとなっています。

AV2188からの各アナログ音声出力はウ*ココンデンサでカップリングされ、TA4558を用いたアナログLPF等を通って出力されます。
というか、今の時代って96倍なんていう高オーバーサンプリングは常識なんでしょうかね?もの凄い周波数に成りそうですが・・・ もし96fsであるなら、アナログLPFなんてまず要らないと思います。(実際、AV2188データシートの参考回路には外付けLPFはありませんでした)
一応、アナログLPF周辺の回路を調べてみます。とりあえずMIX-OUT L/R音声を調べてみると、5.1ch音声出力のFL/FRと直結されていました。まぁDACが6ch止まりなので仕方ないのですが、これはこれで正しいのでしょうか? なんか5.1ch再生時にかなり支障が出そうな気もしますが。

本機はカラオケ対応ということで、マイク端子からの信号が一番下の2個のOPAMPで増幅され、上2個のOPAMPに20kΩを介して入っています。また、マイクのON/OFF制御はそこにぶら下がっているS9014を用いています。
とりあえず、D/A変換された音声が、LPFを通った信号とバイパスした信号の出力波形を見てみました・・・

上がバイパスした信号。下がLPFを通った信号です。2ms/divでどちらも0.2V/divです。
バイパスするとサンプリングノイズらしき信号が盛大に出てます。スペアナがあるとその分布が分かるのですが、当然持ってるわけないので分かりません。
とりあえずこのままアンプに接続しても音は出ますが、なんせこんな信号なので好ましくありません。といいますか、DAC内で40kHzのLPFを通ってるのなら、もう少し綺麗な波形になっても良い気がしますが・・・

しかも困ったことに、LPFを通った信号にもかなりの高調波が含まれています。
ほんとにオーバーサンプリングしてるのでしょうか??
そこで、LPFの帰還チップコンデンサ(測定値240pF)に並列に適当な容量のコンデンサ(1500pF)を繋げてカットオフ周波数を下げてみました。

ちなみに、このときOPAMPをNJM4580DDに交換し、カップリングコンデンサは安く入手できたMUSEを使っています。またDAC電源の強化として電源ラインに1000uFの電解を入れています。
4580は4558と音的にはあまり変わらない印象ですが、4558自体に「安物」のイメージが私の中にあるもんで。
50us/div。
上がデフォルトのLPFを通った信号。下が1500pFをパラったLPFを通った信号です。
下の波形は高調波が除去され綺麗になっています。
そのLPFの周波数特性を調べるため、秋月の\3500の発振回路を用いて正弦波をLPFに入れて、その出力振幅を見ます。
20kHzの正弦波を入力したときの各出力波形。上がデフォルトのLPFで下が1500pFをパラったLPFです。電圧レンジはともに1V/div。
デフォルトのLPFのカットオフ周波数は22kHz付近のようです。可聴外に設定したのは位相特性を考慮したためでしょうか?
1500pFをパラるとカットオフ周波数は1kHz付近であることが分かりました。まぁたしかにこれだと高調波”は”十分に除去できますね。
デフォルトのLPF回路図を書き直してみました。典型的な多重帰還LPFのようです。ということは減衰特性は12dB/octで、計算上のカットオフ周波数は21kHz付近のようです。まぁ定数は測定器の誤差が含まれていますからこんなもんでしょう。
さらに高次のLPF入れて急激な減衰特性を持たせれば綺麗な波形になるんでしょうが、位相特性が問題になるだろうし、そもそも定価\1万ちょいの機器にそこまで手間かけるのもバカらしいので、あきらめます・・・。
ちなみにこの秋月の発振回路ですが、その性能はいつもの通り期待を見事に裏切ってくれます。
上の波形が、その発振回路での20kHz正弦波です。
これ、正弦波ですかねえ?なんかもの凄く歪みが多いんですが・・・
LPFを通すと高調波が除去されるせいか、これよりも上の波形写真のように正弦波っぽく見えるようになりますが。

またこの回路は0.1Hz〜20MHzのファンクションジェネレータとなっていますが、20MHz付近では減衰が激しく、三角波や矩形波は正弦波になってしまうためにまるで使えません。
「数万円するメーカー品にひけをとらない高性能仕様です」という宣伝文句はいかに。

・・・もう二度と秋月のキットは買いません。

opアンプの電源ラインのデカップリング用100Ω抵抗をバイパスし、電解コンデンサを追加。出力カップリングもMUSEにしました。ミュート回路はリレーにしようかとおもいましたが、そこまでする必要はないと判断。
少しでも電源に余裕をもたせるため、マイク増幅opアンプは除去しました。
MUSEは標準品コンデンサよりも安く入手できたから使っているだけで、本来ならこの程度の回路に音響用コンデンサを投入するのはおすすめしません。

ES6028Fは通電中は触れられないほど熱くなるため、ジャンクマザーから取り外した放熱器を付けました。
ということで、改造らしい改造は何一つ出来ずに終わってしまいました。
音声波形はこんな感じです。あまり気持ちの良い形ではありませんね。

音に関しては、マトモなシステムに繋げる気にならないので分かりません。
そのうち適当なアンプとスピーカ繋げて激貧5.1chやってみようと思います。
メイン基板のデジタル音声端子付近に、ダイオードリミッタがありました。
どうやらコンポーネント映像出力レベルをこれで制限している模様。よっぽどのノイズをまき散らすんでしょうかね。

波形をみると分かりますが、映像信号にもかなりの高周波信号が十畳されてます。多分sw電源によるものだとおもいます。まぁこういうのも、「安いから」という理由で片づけられちゃいますよね。

あと、VGA出力ですが、リモコンで出力を「interlace」に設定すると水平走査が15.7kHzになります。パチンコRGB液晶もダイレクトに繋げられて高画質で楽しめるかもしれません(試してませんが)。また、きくところに寄るとナントカフリーだそうで、もう何でもアリって感じですよ。

ということで、アジアパワーを存分に感じることが出来ましたw


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